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来年度政府予算の概算要求締め切りが今月末に迫る中、九州新幹線西九州ルート着工の条件となる並行在来線経営分離への地元同意に向けた長崎県推進派政財界関係者の佐賀県庁詣で、鹿島・江北詣でが活発だ。2年連続で予算が確保されているにも拘らず着工が凍結されている異常な状況は、一部自治体の同意が未だ得られていないからで、推進派の焦る気持ちもわかる。
2年前、着工に向けて大きく動き出すきっかけとなった長崎県知事の建設費負担一部肩代わり発言と佐賀県知事の経営分離同意発言。そこに至るまでの長崎側から佐賀県関係者への反対自治体を迂回しての根回し。それ以降、殆ど佐賀県側に任せて静観(あるいは楽観視)していた中での長崎県知事選(投票率54%)と鹿島市長選(投票率74%)で示された民意の温度差に長崎側が業を煮やしたのだろうか。
先月は、長崎県市長会等4団体22名もの集団が鹿島市長不在を承知で市役所を訪問し、市長職務代理者として対応した総務部長に座って話し合う席を求めたり(2年前、知事同意をもって県全体の同意と見るべきと発言した長崎市長兼市長会会長)、帰り際に「お願いしまーす」と大声で連呼したとか。こうした行動が市役所関係者や市長に票を投じた市民にどう捉えられたのか。少なくとも、膠着状態の打開に繋がったとは考えにくい。
一方で、このままだと国交省が概算要求に盛り込んでも、使われない予算が3年連続で認められるかどうかは極めて不透明だ。そうなると、推進派の頼りは佐賀県知事の政治決断しかない。現に、22日に佐賀県庁を訪問した長崎県知事の口から「大同を取って、小異を捨てる…」旨の発言が出たようだが、いくら県庁時代からツーカーの仲でも期限付き強行突破督促は辛い。また、協議の場を空けてあるとはいえ、表向きは昨夏の不同意で決着しており、費用対効果や3セクの現状についてそこらの推進派首長よりよほど勉強している鹿島市長を論破できる見込みは全くない。4月の市長選で経営分離反対を公約に掲げて推進派候補を破った以上、市長にとっても公約は靖国参拝と同じくらい「重いもの」だろうから。そこで残った最後の切り札は、政権与党からの「同意するなら地域振興、出来ないなら村八分」的な圧力だろう。過去に、昭和天皇戦争責任発言が論争を巻き起こした長崎市長選では、反市長派の一本化の為に現職総理までが複数の立候補予定者を説得して出馬を断念させた実績もあるし、逆らえないお上の力なら少なくとも『公約違反』的な傷のつけ方にはなるまい。
ただ、遠からず実現するであろう着工・開業の前に、推進派は以下の事に思いを馳せるべきである。第一は、新幹線着工が長崎県民の総意ではないという事。事実、鹿島詣での中には反対派もいて、経営分離反対が鹿島だけの地域エゴではないという事。第二に「大同を取って、小異を捨てる」と言うが、その小異とやらも元は大異であった事。そこに至るまでの手順や手段が適切だったかという事。そして第三は、おそらく予想される厳しい3セク運営によほどの覚悟と責任を持つ事だ。もっとも、これは肥薩おれんじ沿線の反発承知でJR九州が前例のない手厚いケアをしてくれるそうだから、しばらくは都合の悪い数字は出ないかもしれないが。
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